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タレントマネジメントの戦略的展開:具体的施策とその運用【第3回】

第3部 タレントマネジメント

前回記事“タレントマネジメント【第2回】”をたくさんの方に読んで頂き誠にありがとうございました。

今回からはより具体的な施策として、

目的達成のための必要条件(具体的活動項目)3点
1. 人材ポートフォリオ策定と運用
2. ポジション管理のルール策定と運用
3. 働きやすさとエンゲージメント(次回)

に、ついて記していきます。

目的達成のための必要条件(具体的活動項目)3点

人材ポートフォリオ策定と運用

まず、人材ポートフォリオと聞いて何を意味するかパッと答えられる方は少ないのではないでしょうか?

これは一言でいうと、

いつ、どれくらい、どの程度の、いくらで、人材が必要になるかを可視化したものだと思っていただけると幸いです。これを可視化しておくことによって、将来必要な人材を採用するべきか、教育するべきか、配置転換するべきかなどの意思決定の材料とします。代表的な例として、下図のようなポートフォリオがあります。

この図の意味するところは、新しいことを創造する or 定型的な作業を行うかどうかをx軸に、個人 or 組織で仕事を行うことが多いかどうかをy軸に置いたものです。実際に利用する場合は、一つひとつの箱をさらに、「男・女」や「年齢構成」、「等級」などで細分化します。そうすることで自社の人材構成が把握しやすくなります。但し、この例はどこの企業でもある程度当てはまると思いますが、汎用的すぎるので次の図を御覧ください。

この例は製薬工場をイメージしたものとなっており、先程と違うのは現在の人員数を加えたものになっている点です。さらに緊急度(人員過不足予測)をコメントしているので、人材の採用や配置の指標となります。実務として行う場合は半期ごとなど定期的に数値確認を行うこと(いわゆるKPI管理)、また他の切り口(x軸y軸)を常に模索し自社全体や部署ごとの最適なポートフォリオを策定することが求められます。

また同時に、要員計画を作成しておくことが必要となります。次の図は先程のポートフォリオを基に作成した要員計画の例となります。

このように具体的な必要人員数及びそのための打ち手を可視化することで、誰が何をするべきかが明確になります。業務の生産性を考えると、少なくとも3~5年位単位で必要な人員を確保していかないと、◎人材が定着することはないのではないでしょうか。

もう一つ、ここで詳細は記しませんがサクセッションプランニング(後継者候補育成計画)とポジションプロファイル(人材要件/コンピテンシー・専門スキル・経験・本人の意向など)は丁寧に作成しておくことをお勧めします。なぜなら自社にとって優秀な人材ほど他社にも優秀、つまり採用が難しいからです。何を当たり前のことをと言われるかもしれませんが、私が過去お仕事をさせていただいたほとんどの企業が目先の人材管理しかできる仕組みがなく、結果として継続的に成果を出せる仕組みを持っていなかったからです。人材流動率が上がっていると巷で言われておりますが、それは一部の企業の中で一部のジョブホッパーが行ったり来たりしているだけ、まずは自社にいる人材が如何に成長していくかを考えたいものです。

ポジション管理のルール策定と運用

こちらでは“ポジション管理”の具体的なルールと運用方法をできるだけわかりやすく記します。まずは前回の記事でも記した図のおさらいです。



3つの図で示したように、一般的なポジション管理と等級制度で大きく違うのは権限です。ポジション管理の場合は人事に関して大きく権限を持っている、逆に多くの日系企業が取り入れている等級制度(職能・役割など様々あるが)では権限がほとんどありません。

ではなぜ私がこの点に注目しているか?それは前提として、コーポレート人事(企業全体の人事・HCM・人的資本管理)も大事だが、もっとミクロの現場人事(組織の末端のメンバーが如何に働きがいを持ち成長していけるか・コミュニケーションを軸としたチームビルディングなど)が重要だと考えているからです。もう少し平たく言うと、会社が定める人事制度や教育制度よりも、現場で働いているヒトが普段行っている助け合いや働きがい向上が重要ということです。例を挙げると、バックオフィスで如何に優秀なコーポレート人事を行っていても、現場がそれに則っているかどうかがわからなければその企業の人事は失敗しているということです。

そこで話を戻しますが、ポジション管理の考え方の人事権付与が効果を発揮します。各部門に現場の人事全体を把握する権限を持つ人材がいれば、採用や教育、退職勧奨、また他部署を含めた配置転換や個人のキャリアディベロップメント形成なども安易になるはずです(4で記したポートフォリオや要員計画も行いやすくなります)。

ここで1つ目の結論、ポジション管理の権限を自社にも取り入れるべきではないか?をこれを読んだ皆様も是非一度社内で検討してくださると幸いです。

但し、これは理想論です。ここまで言っておいてですが、グローバル3万人企業ならさておき、5,000名未満の企業だとそのままマネするのはコストや能力から難しいことが多い。そこで、2つ目の話は実際の運用をどうするか?になってきます。まずは下図を御覧ください(画像なので見えづらく恐縮です。もし欲しい方は最下部のコメント欄に画像くださいと言ってもらえれば運営から送付いたします)。

こちらは、私が以前職場で使っていた全業種共通の管理職必須のタスク、それとそのタスクに必要なスキルを定義したものの抜粋になります(インストラクショナルデザイン)。縦軸にタスクが並んでおり、横軸はそれに対応した必要スキルが並んでいます。


2枚目の図の30番から35番が人事(タレントマネジメント)の項目です。念のためもう一度言いますが、全業種共通、管理職必須のタスクです。どういうことかと言えば、営業部でも企画でも開発や製造でもどこでも共通のタスク、つまり現場の管理職はこれらのタスクができる、当然そのためのスキルや経験を積んでいるといえます。

しかし現実にはどうでしょう?日系企業の管理職層はかなりこれらのタスクをこなせないどころか、そもそもそれが自分のタスクと認識している事自体が少ないのではないでしょうか?理由はいくつかありますが、特に大きな要因として4で記した制度の違いがあります。そもそも職能等級や役割等級ではタスクが曖昧、且つ給与制度が役職給の割合が大きく、そのため管理職として昇進していくしかキャリアディベロップメントの方法がない場合が多いです。語弊を恐れず言うと、スペシャリスト人材の価値が上がりにくいので仕方なく管理職に就くと言った形です。そのため、多くの企業で将来有望と思える人材をかわいがるのですが、バランスの悪いOJTとOffJTしか行っておらず、いざ管理職にした途端、「あいつはもっとできると思った」とか言う方が多いです。いやいや、あなたがバランス悪いからでしょうと。

運用の話に戻します。では実際に私の行ってきた従業員10,000名未満の企業の例ですが、

① 全従業員にジョブディスクリプションの開示
② コーポレート人事(全社部門の人事)と各部門人事の役割の切り分け
③ コーポレート人事と各部門人事のプロジェクト化

を一定期間行うことでだいぶ変わっていきます。

① 全従業員にジョブディスクリプションの開示
ですが、上記の図のように全ての管理職に必須なのだよと可視化することだけでも意識付けができます。特に入社3年未満くらいの頃から意識が芽生えれば、10年目くらいではすっかり全体像を経験できているはずです。今いる50代は無理でも将来の候補生のための施策として考えていただければ幸いです。

② コーポレート人事(全社部門の人事)と各部門人事の役割の切り分け
ですが、全員に意識が芽生えて来てからは少しずつ各部門長に人事権を移行します。3,000名未満位の企業なら複数部門に1~3名くらい人事権を持たせた方をポジションとして置くことが妥当かと思います。また、組合等の横槍も少ないのでやりやすい印象です。

③ コーポレート人事と各部門人事のプロジェクト化
ですが、中身は常に変化するのでアジャイルの認識を持つことが重要です。導入期は制度設計、それが済むと評価やトレーニングの問題、そして給与と問題は常に移動するものと捉えなければなりません。また、コーポレート人事の知見を各部門人事に与える、その逆も必要で定期的になるべく細かくコミュニケーションを取ることが求められます。

まとめますと、興味があるないではなく人事は全ての方にとって重要であり、コーポレート人事だけが執り行うものではありません。現場と一緒になって行うことで最終的に企業と個人の成長につながると信じております。

次回ですが、

目的達成のための必要条件(具体的活動項目)3点
3. 働きやすさとエンゲージメント

を、記していきます。また、皆様の貴重な意見やご質問等、何でもお気軽にご連絡頂けますことお待ちしております。

トライアル

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