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タレントマネジメントの目的

第2部 タレントマネジメントの目的_1

この回では”タレントマネジメント”の目的について記します。
それは第1部の冒頭で記したように、タレントマネジメントの目的や手段、打ち手とターゲットを明確にできている企業は少ないと感じているからです。
また余談ですが、タレントマネジメントに限らず【××マネジメント】の多くがトップの号令で急に始まり知らぬ間に消えているという事例は枚挙に暇がありません。

そこで今回は、

タレントマネジメントの目的3点
1. 企業価値を高めるための人材ポートフォリオの実現
2. 人材ポートフォリオ実現のためのポジション管理
3. ITを活用した人材可視化と育成

に、ついて記していきます。

タレントマネジメントの目的3点

1.企業価値を高めるための人材ポートフォリオの実現

まず、企業価値の一般的な定義ですが、

フリーキャッシュフロー(FCF)
=税引き後営利+減価償却費-運転資本増減額-設備投資増額

と、言われおります。
つまりFCFの最大化(=企業価値を高める)のためには、売上高成長率、営業利益率、運転資本効率などを伸ばしていくことと言えます。

ではなぜ人材ポートフォリオの実現がFCFの最大化に繋がるかというと、売上高成長率及び営業利益率に関しては、人材による構成要素が多いためと言われております。もちろん例外もありますが、今回このブログを読まれている多くの方においても販売や製造の成果指標は人材における要素が多いのではないでしょうか?
結論としては、FCFの最大化をするためには人材投資(採用・育成・配置転換)が必要条件であると言えます。

また売上高成長率や営業利益率は人材による構成要素が多いことから、FCFと人材の相関性を図る指標として労働生産性がよく使われております。すごく簡単に理解してもらうために一言でいうと、一人あたりいくら儲かってる?ってことになります。
余談ですが最近では経産省や厚労省の助成金や補助金等にも、労働生産性の向上を目的とし、達成すると加算されるものが多くなっております。

労働生産性=付加価値額÷労働投入量(社員数 or 社員数×労働時間)

つまり、

付加価値額=労働投入量×労働生産性

(付加価値額とは、営業利益+人件費+支払利息+賃借料+租税公課 と定義)
*経産省中小企業庁定義

なので、付加価値額を上げていくためには多くの人材を確保し労働生産性を上げていけば良いと言い換えられます。但し、現実問題として多くの人材を一度に確保すれば当然現場の生産性は下がることが容易に想定できますし、FCFも下がることとなってしまいます。

下図は、労働生産性上昇率の要因図です。こちらからわかる通り、日本では労働生産性上昇率を下げる要因として労働量を多く使っていること、つまり生産性ではなく労働力投入によって仕事をしていることが見て取れます。


そこで、それを防ぐために必要なことが、人材ポートフォリオになります。これは一言で言うと、いつ、どれくらい、どの程度の、いくらで、人材が必要になるかを可視化したものと思って頂けると想像しやすいかもしれません。採用や教育の源とも言えるでしょう。

まとめますと、タレントマネジメントの第1目的はFCFの最大化に帰すために、労働生産性を適した人数で向上させる、それを下支えするのは人材ポートフォリオの実現であると理解して頂ければ幸いです。また人材ポートフォリオについては詳細をb.1で後述します。

2. 人材ポートフォリオ実現のためのポジション管理

ポジション管理と聞いて、何かわかる方は少ないのではないでしょうか?皆様の中には外資系企業の方もいらっしゃると思いますので、もしかするとその方たちはうちの会社ではそうなっているという方もいらっしゃるかもしれません。

ポジション管理に関してまず下図を見てください。


この図が意味するところは、組織の中にポジションという概念が存在し、そのポジションに人材が紐づくことを意味しております。日系企業の多くの場合は組織に直接人材が紐づくところが一番の違いです。日系企業の人事制度では多くの企業が等級制度を設けていると思いますので、このポジション管理の具体例は後述するとして、ポジション管理との違い、またこれを行うことでどんなメリット・デメリットがあるかを記していきます。まずは下図を見てください。

ざっと書いただけでも多くの違いがあることがわかると思います。

まずは権限です。私が一番驚いたのは人事権が各部署(営業部や製造部などどこにでも)に揃っていることです。つまり採用や解雇、昇降格などすべて自部署で完結します。反対に日系企業の多くが採用している制度では、多くの場合人事部が人事権を持っているものが多いと思います。これは年功序列型且つ大量一括採用の時代にはメリットが大きかったと聞いております。しかし前提として企業が大きくなり続け成長も確実にしていく高度経済成長期ならまだしも、変化の激しい現代では必要なときに必要な人材を獲得する必要がある中、かなりリスクな制度ではないかとコンサルティングファーム時代は提言しておりました(*もちろん成長産業の成長期は除く)。

次に役割ごとの各種定義を見ていきましょう。ここでも明確な違いがありまして一番はインストラクショナルデザイン(自部署のスキル定義、またそのスキル習得のための教育研修を体系化・実行すること)がポジションとしてあり、その執行者(インストラクショナルデザイナー)が存在していることです。なので、部署内でのスキル不足に陥る人材が少ない、また迅速な対応が可能となっております。ちなみに余談ですがこのポジションはかなり高額な報酬がもらえるようです。笑
但し良い事ばかりではなく、例えば業務定義や権限が曖昧な制度なら、やる気がある人はどんどん権限外の仕事も行い能力向上や経験が詰めると思います。しかし明確なポジション管理の場合はほぼ自分の定義された業務以外を行うことができません。なので流動率が高い欧米には向いているのかなとも思います。
少し話がそれますが、就職って言葉の解釈を私は3つに分けられると考えております。

1. 就社:つまりその会社に一生いるつもりで就職。年功序列型に向いています。
2. 就業:つまりプロジェクト単位や特定事業に対して一時的に就職。
3. 就職:職、つまりポジションに対して就職。外資系に多いですね。

こんなふうに考えると、自分の会社や事業体が今後どう制度を移行すべきか再考しやすくなるのではないでしょうか?

話を戻しまして、ポジション管理と一般的な等級制度の違いはわかって頂けましたでしょうか?どちらがいいとかではなく自社や事業に合わせていいとこ取りの制度設計を行えば労働生産性やモチベーションの向上など多くのメリットがあると考えられます。ぜひ皆様も一度トライして頂ければ幸いです。

3. ITを活用した人材可視化と育成

それでは3つ目の目的、人材可視化と育成です。まず、なぜ育成だけではなく可視化が必要かを記していきます。

・可視化の目的

私たちの多くは子どもの頃からテストで自分の学力を測ったり、通信簿である程度の評価を受けてきました。進学受験では偏差値から自分の進学をある程度予想し、受験校を変えています。これらの経験を通じて私たちは自分の学力を把握し、他人と比べることで成長してきたと言えます(もちろん他人と比較なんかしてないって方もいるかもしれませんが)。そして私たちは多くの他人との比較を通じて自発や自律をできるようになり、社会に出ていきます。
ところがどうでしょう。会社に入った瞬間に他人と比較するものが極端に減ってしまいました。曖昧で根拠のない評価、年功で決められた古臭い給与制度、研修を受けても定性的なフィードバックばかりで参考にならない。
上記した内容、皆様の会社ではどうなっていますでしょうか?
少なくとも私は8割の企業が人材可視化ができていないと考えています。特に大企業ほど古臭い制度も相まって可視化に着手していない(できない)のではないでしょうか?これでは自分が社会の中でどれくらいのスキルを持っているのか?こなせるタスク量は多いのか?給与は妥当なのか?結果、比較できないまま歳を取っていくと成長していく機会やそもそも成長しなきゃいけないって気分も削がれていきます。モチベーションの低下ですね。つまり、社会に出たあとも他人と比較し自分に何が足りている足りていないを気づき、やる気を出してもらうことが可視化の目的と言えます。

・可視化すべき人的要素

それでは何を可視化すれば目的を達成できるかですが、まずは下図を御覧ください。

左上:個人データですが、個人属性はだいだいの会社がシステム化し持っていると思います。また評価や給与も同じです。持っていないと思われるのが、タスク/スキルの定義です。こちらポジション管理の項でも記しましたがそもそも定義がない方が多いと思われます。また、社内教育データやサーベイ(アンケートや調査)、アセスメントデータなども管理できている企業は少ないのではないかと思います。ではなぜこれらが管理されていなければいけないかですが、社員目線でいうと自分の過去と現在地の確認項目になるからです。先程までは他人との比較を多く記しましたが、過去の自分との比較が実は最も大切かもしれません。また管理目線でいうと将来の幹部候補の早期発見や教育(サクセッションプランニングと呼びます)、ローパフォーマーや退職予兆の早期対策などが挙げられます。このように個人のデータを少しでも活用することで多くのメリットがあると言えます。

右上:組織データ
主にコミュニケーション・コラボレーションデータです。現在多くの企業ではスケジュール管理がデータ化されていると思いますので、誰とどのくらいいたか?や、誰と多くコミュニケーションしているかを簡単に定量可することができます。これらの活用方法ですが一例として、下図のような事例があります。

これは簡単に言うとコミュニケーション量と営業成績の相関性から、誰が組織にとって成果を出しているかを把握するための施策事例です。営業成績の良い社員ばかりが目につく事が多いですが、実は成績が低いがみんなの縁の下の力持ちになっている人材を見つけ、昇降格や評価につなげると言った仕組みです。現在マイクロソフト社のOffice365をお使いの方ならMyAnalyticsというアプリがありますので見ていただくといいかもしれません。こちらは自分中心だけですが、誰とどのくらいコミュニケーション・コラボレーションしたかが測れるものとなっております。余談ですが現在ラーニングコンソーシアムの顧問、富士ゼロックスやNTTラーニングシステムズなどでご活躍された小松さんは、コミュニケーション・コラボレーションが人材の生産性の肝と仰っておりました。私もそこからニッチではありますがこれらのデータをタレントマネジメントや営業施策などに活用しております。

左下:経営活動データ
顧客とのコミュニケーション・コラボレーションデータはSFA(営業管理システム)を利用していれば多くのデータが収集・分析できます。上記の事例の顧客版のプロジェクトは枚挙に暇がないです。逆にタスク処理数の管理は業界によってはまだまだ全く手つかずと言えます。皆様が活躍されている製薬業界ではラインごとの処理数をきちんと測っていることが多いのではないでしょうか。

・可視化の手法

ここまで目的と取るべき要素(データ)に関して記しましたが、最後に手法を説明します。まず前提としてIT投資が必須と言えます。エクセルなどで代替可能な部分も多少ありますが、かなり効率が悪い(もしくは不可能)と言えます。ではどんなIT投資が必要かと言うと、手っ取り早いのはSaaS製品(サービス提供者がインターネットを介し提供しているIT製品)を導入することです。例えばここまで記したことやそれ以外も全部やりたい企業様はSAPのサクセスファクターズやOracleのタレオ、sabaなど大手外資系のサービスをおすすめします。また部分的でもいいのでやりたい企業様はSMARTHRやカオナビなどがあります。SaaSのメリットは導入がしやすくいつでもやめれること、デメリットはそもそも自社の運用に合わない(外資のサービスは運用プロセスが全く違う場合がある)ことでしょうか。
また、自社独自の××が強い企業様はスクラッチ開発を依頼するのもありかと思います。ただ敢えて言うと、

SaaSを使う⇒運用をシステムに合わせる⇒制度も変える

というプロセスを踏む企業の方が成長機会は多いのかなと経験上感じております。シリコンバレーの知人が言うには、まだ市場に出て間もないSaaSを使いこなすのがあちらでは一番の自慢になると言っておりました。
ちょっと日本の文化とは違いすぎますかね。

次回ですが、

目的達成のための必要条件(具体的活動項目)3点
1. 人材ポートフォリオ策定と運用
2. ポジション管理のルール策定と運用
3. 働きやすさとエンゲージメント

を、記していきます。ようやく概念ではなく具体的な手法の内容となっておりますので、お付き合い頂ければ幸いです。
また、皆様の貴重な意見やご質問等何でもお待ちしております。お気軽にご連絡頂けますことお待ちしております。

参考文献
企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践
経営者が知っておくべきジョブ型雇用のすべて
経済産業省・厚生労働省各種データ

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