
※令和8年度診療報酬改定の全体像や補正予算の背景については、関連記事「【補正予算2兆円超&診療報酬改定+3.09%】予算が動く今こそ始める医療DX!動画マニュアル活用術」もあわせてご覧ください。
予算が動く今こそ始める医療DX!動画マニュアル活用術
令和8年度の診療報酬改定で、クラークの採用数を増やさなくても、ICTの活用次第で加算収入を増やせる仕組みが新設されました。カギになるのが「患者向け説明動画」です。この記事では、医師事務作業補助体制加算の新しい要件と、動画整備への具体的な対応方法を解説します。
目次
医師事務作業補助体制加算とは
医師事務作業補助体制加算(A207-2)は、勤務医の業務負担を軽減するために医師事務作業補助者(クラーク)を配置している医療機関を評価する加算です。入院初日に1回のみ算定されます。
点数はクラークの配置人数比率によって区分されます。「15対1」とは入院患者15人に対してクラーク1人を配置していることを意味し、数字が小さいほど手厚い配置です。配置が手厚いほど高い点数が算定できます。
令和6年4月から医師の時間外労働上限規制が段階的に適用されており、医師の業務をどれだけ他職種・ICTへシフトできるかが、病院経営の重要課題となっています。医師事務作業補助体制加算は、そのタスクシフトを正面から評価する制度です。
算定できる主な医療機関
一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料を算定する病院が主な対象です。15対1については、第三次救急医療機関・小児救急医療拠点病院・総合周産期母子医療センター、または年間緊急入院患者数800名以上の実績がある病院が算定要件を満たします。20対1以上の区分については、これに加えて災害拠点病院・へき地医療拠点病院・地域医療支援病院の指定を受けていることでも算定可能です。
これまでの課題:配置を手厚くするには採用するしかなかった
配置比率を上げる(より手厚い区分に移行する)には、クラークの頭数を増やすしかありませんでした。採用難が続く環境下では、上位区分の維持・取得が難しいという構造的な課題がありました。

令和8年度診療報酬改定で何が変わったか
令和8年度改定では、ICT・AI活用による配置基準の柔軟化が新設されました。一定のICT機器を組織的に活用していると認められる場合、クラーク1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。
たとえばクラークが4名いる病院でも、要件を満たせば「5.2名相当」として届け出ができます。採用数を増やさずに、より手厚い配置区分へ移行できる可能性が生まれます。
1.2倍・1.3倍の違い
倍率は活用するICT機器の種類によって2段階に設定されています。
| 算入倍率 | 必要な要件 |
|---|---|
| 1.2倍 | 生成AIを活用した文書作成補助システムの日常的活用(必須) |
| 1.3倍 | 上記(生成AI)+ 下記のICT機器を1種類以上追加活用 |
まず押さえておきたいのは、生成AIの活用は1.2倍・1.3倍どちらを狙う場合も必須という点です。すでに院内で生成AIを使った文書作成補助を導入しているなら、1.2倍の届け出は比較的すぐに着手できます。
1.3倍を狙うには、生成AIに加えてもう1種類のICT機器が必要になります。ただし、追加で必要なICT機器の選択肢は3種類あり、そのうち患者向け説明動画は院内にある既存の説明資料をもとに作成できるため、専用システムの導入が前提となる音声入力やRPAと比べてハードルが低い選択肢です。0.1倍の差は小さく見えますが、クラーク5名の病院なら1.2倍で6名相当、1.3倍で6.5名相当と、配置区分に直結する差になります。

1.3倍算入の要件:追加で必要なICT機器3種類
生成AI活用に加えて、以下の3種類のICT機器のうち少なくとも1種類を広く活用することで、1.3倍算入が可能になります。

音声入力・RPAはいずれも専用システムの導入が前提となります。一方で患者向け説明動画は、院内で作成・運用できる手段であり、既存の説明文書・スライド資料がある医療機関であれば比較的スムーズに対応できる要件です。
「患者向け説明動画10種類以上」の要件を詳しく読む
加算要件に列挙されている動画の対象シーンは以下のとおりです。
- 入退院時の説明
- 検査・処置に関する説明
- 麻酔・鎮静に関する説明
- 手術に関する説明
- IC(インフォームド・コンセント)
- 医療安全に関する説明
- 感染対策に関する説明
これらのカテゴリの中から合計10種類以上の動画を整備・活用している状態が要件です。「種類」の数え方については、今後の告示・通知の詳細を確認しながら対応することが求められますが、上記の各シーンごとに複数の動画を用意することで要件を満たす構成が現実的です。
多くの病院では紙の説明文書やPowerPointスライドがすでに存在しています。それらを動画化することが、最も手間のかからないアプローチです。
施設基準と届出上の注意点
配置基準の柔軟化を新規に届け出る場合には、以下の条件を満たす必要があります。
算定実績の要件
ICT機器を活用した配置人数算入による届出を行う前に、直近3ヶ月以上の期間、ICT機器算入なしで同等以上の配置区分を継続して算定している実績が必要です。つまり、今の配置区分を安定的に維持してきた実績が前提となります。
年1回の業務評価
ICT導入前後で、業務内容・業務時間・負担感等について年1回程度の定量的・定性的な評価を実施し、衛生委員会等で確認・対策を講じることが求められます。「入れたら終わり」ではなく、効果の継続的な検証が義務付けられています。
その他の主な施設基準
- 3省2ガイドライン(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン等)への準拠
- 医師事務作業補助者への研修および体制の整備
- 医師事務作業補助者の常勤要件:所定労働時間が週32時間以上(令和8年度改定で変更)
患者説明動画の整備にPIP-Makerを活用する
「10種類以上の患者説明動画」という要件に対応するうえで課題となるのが、動画の制作コストと制作スピードです。動画制作会社への外注は1本数十万円規模になることもあり、10種類以上を揃えるには相当なコストがかかります。
PIP-Makerは、院内で作成済みのPowerPointファイルをアップロードするだけでAIアバターが解説する動画を作成するツールです。特別な動画制作スキルは不要で、すでにある説明資料から短期間で複数本の動画を量産できます。
入院案内のサンプル動画
医療機関での活用イメージ
- 入院オリエンテーション、手術前説明、検査説明など、既存のPowerPoint資料をそのまま動画化
- 説明内容が変わっても動画を更新するだけで済み、院内配布済みのQRコードやリンクはそのまま使い続けられる
- 患者がスマートフォンやタブレットで繰り返し視聴でき、説明担当者の時間的負担を軽減
- スタッフが統一された内容で説明できるため、説明品質のばらつきを抑制できる
NTT東日本関東病院では、PIP-Makerを活用した入院オリエンテーション動画の導入により、説明にかかる時間を平均21分半から17分半に短縮、患者の待ち時間も33分から10分へと削減した実績があります。
導入事例をもあわせてご覧ください。
待ち時間50%、入院時オリエンテーション時間17%削減!
看護師の負担軽減と患者の利便性向上をPIP-Makerで実現
まとめ
令和8年度診療報酬改定における医師事務作業補助体制加算の変更ポイントは以下のとおりです。
- 生成AIによる文書作成補助システムを日常的に活用することで、クラーク1人を1.2人として算入可能
- さらに音声入力システム・RPA・患者向け説明動画(10種類以上)のいずれか1つ以上を追加活用することで1.3人として算入可能
- 新規届出には直近3ヶ月以上の算定実績と、年1回の業務評価実施が必要
- 患者向け説明動画はPowerPointから動画を生成するツールを活用することで、短期間・低コストで10種類以上の整備が可能
医師の働き方改革が加速するなか、今回の改定はICT活用の有無が加算の取れる量に直結する制度設計になっています。すでに説明文書やスライドがある医療機関であれば、動画化は今すぐ着手できる施策です。PIP-Makerの無料トライアルで、まず1本作ってみることから始めてみてください。
執筆:株式会社4COLORS マーケティングチーム
予算が動く今こそ始める医療DX!動画マニュアル活用術
参考資料
※本記事は令和8年度診療報酬改定の答申内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知の内容を必ずご確認のうえ、実際の算定・届出にお役立てください。
