
令和8年度診療報酬改定で新設されたICT乗数1.3倍算入。その要件の一つが「10種類以上の患者向け説明動画」です。制度の仕組みを知った担当者がまず直面するのが、「では何から作ればいいのか」という問いです。
全部で何領域カバーしなければならないのか。1つの領域で複数本作ってよいのか。どの動画から着手すれば短期間で要件を満たせるのか——こうした疑問に答えるのが本記事です。
厚生労働省が令和8年4月1日付で発出した疑義解釈(その2)では、要件の具体的な読み方が示されています。本記事では、その内容をもとに、優先順位の考え方から制作フローまでを解説します。なお、制度全体の仕組みとICT乗数の概要については、前回記事「動画10本で加算の配置基準が変わる。令和8年度改定『医師事務作業補助体制加算』ICT乗数とは?」をあわせてご覧ください。
令和8年度改定『医師事務作業補助体制加算』ICT乗数とは?
目次
「10種類以上」の要件を正確に読む
厚生労働省が令和8年4月1日付で発出した疑義解釈(その2)では、10種類以上の患者向け説明動画について次のように示されています。
問12:10種類以上の患者向け説明動画とは、入退院時の説明、検査・処置、麻酔・鎮静、手術、インフォームド・コンセント及び医療安全・感染対策等の各領域について、領域の異なる動画が10種類以上必要になるのか。
(答)少なくとも3つの領域の説明動画が合計10種類以上用意されていること。
(出典:厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その2)」令和8年4月1日)

要件の構造図
つまり要件の要点は次の2点です。
- 領域:列挙されている領域(入退院時説明・検査・処置・麻酔・鎮静・手術・IC・医療安全・感染対策等)のうち、少なくとも3つ以上にまたがること
- 本数:それらの領域を合わせて合計10種類以上用意されていること
「全領域を網羅しなければならない」わけではなく、また「1つの領域で10本」でも要件を満たしません。複数領域にまたがる合計10本以上というのが正確な読み方です。
なお同Q&Aの問11では、動画の活用頻度についても目安が示されています。1日当たりの使用回数が外来を含めて一般病床数の概ね15%以上(療養病床・精神病床は5%以上)であることが活用の目安とされており、整備するだけでなく実際に使われていることが求められます。
3領域以上×合計10本——どう組み合わせるか
要件を満たす組み合わせは病院の実態によって異なりますが、「既存資料があるか」「説明頻度が高いか」の2軸で着手しやすい領域から選ぶのが現実的です。
着手しやすい領域
入退院時の説明は、多くの病院ですでにPowerPointや紙の説明資料が整備されており、動画化しやすい領域です。入院オリエンテーション、退院時の注意事項など、説明頻度も高く活用率の目安も達成しやすいカテゴリです。NTT東日本関東病院の事例でも、入院オリエンテーション動画の導入によって説明時間・患者待ち時間の双方が大幅に削減されています。
待ち時間50%、入院時オリエンテーション時間17%削減!
看護師の負担軽減と患者の利便性向上をPIP-Makerで実現
医療安全・感染対策は、転倒・転落防止、ネームバンド確認、手指衛生、面会ルールなど、入院時に定型的に行う説明が多く、既存の掲示資料や説明文書から動画化しやすい領域です。
検査・処置は、実施頻度の高い検査(内視鏡・造影CT・超音波等)から順に動画化することで、1つの領域で複数本を積み上げられます。検査の種別ごとに1本として用意できるため、本数を確保しやすい領域です。
並行して進める領域
IC(インフォームド・コンセント)は既存のIC文書・説明書から動画化できますが、診療科ごとに内容が異なるため、外来・入院で最も頻度が高いものから着手するのが現実的です。
手術・麻酔・鎮静は内容の正確性が特に求められるため、担当医・麻酔科との確認が必要です。既存の術前説明スライドがある場合はそれをベースにできますが、監修フローに時間がかかることを見越して、他の領域と並行して進めることをお勧めします。
10種類の動画タイトル例
以下は、3領域以上にまたがる合計10種類以上の動画タイトルの一例です。院内の実情に合わせて調整してください。
| 領域 | 動画タイトル例 |
|---|---|
| 入退院時の説明 | 入院オリエンテーション(入院生活のご案内) |
| 入退院時の説明 | 退院時の注意事項とご自宅での過ごし方 |
| 検査・処置 | 内視鏡検査を受けられる方へ |
| 検査・処置 | 造影CT検査を受けられる方へ |
| 検査・処置 | 超音波検査を受けられる方へ |
| 麻酔・鎮静 | 全身麻酔を受けられる方へ——麻酔の流れと注意事項 |
| 手術 | 手術前日・当日の準備と流れ |
| IC | 輸血に関する説明と同意 |
| 医療安全・感染対策 | 転倒・転落防止のお願い |
| 医療安全・感染対策 | 院内での手指衛生と感染予防のお願い |
この例では6領域にまたがる10本の構成です。最初の目標として入退院・検査・処置・医療安全・感染対策の3〜4領域で10本を揃え、その後に手術・麻酔・ICを加えて本数を増やしていく進め方が無理のない計画です。
制作フロー:既存PowerPointから動画化する3ステップ
多くの病院にはすでに説明用のPowerPointスライドや紙の説明文書があります。それらを起点にすれば、動画制作の専門知識がなくても短期間で10種類以上を揃えられます。
STEP1:既存資料の棚卸しと優先順位の確定
まず院内で使用中の説明資料(PowerPoint・Word・PDF)を一覧化します。「動画化できる資料があるか」「説明頻度が高いか」を確認しながら、前述の優先順位をもとに制作順を決めます。担当者(医師事務・看護師・医療安全担当等)と連携して、各動画の監修者を事前に決めておくとスムーズです。
STEP2:PowerPointを動画に変換する
PIP-Makerを使うと、院内で作成済みのPowerPointファイルをアップロードするだけでAIアバターが解説する動画を自動生成できます。動画編集ソフトや専門スキルは不要です。スライドのノート欄にナレーション原稿を入力すれば、そのままアバターが読み上げます。
【サンプル動画の埋め込み箇所:入院案内サンプル動画】
外注制作では1本あたり数十万円規模のコストがかかりますが、PIP-Makerを使えば内製で複数本を並行制作できるため、10種類以上を揃えるコストを大幅に抑えられます。
STEP3:院内配布と運用体制の整備
完成した動画はURLまたはQRコードで患者に共有できます。説明の場でタブレットを使って視聴してもらう方法と、待ち時間中に患者自身がスマートフォンで視聴する方法の両方に対応できます。
運用上のポイントとして、説明内容が変わった際は動画を更新するだけでよく、配布済みのQRコードやリンクはそのまま使い続けられます。紙の説明書の改訂と比べて、差し替えの手間が大幅に減ります。
加算要件では年1回の業務評価も求められています。問11の活用頻度の目安(一般病床数の15%以上/日)を念頭に、動画の使用回数を記録しておくと評価資料として活用できます。
よくある質問
Q. 1つの領域に複数本用意することは可能ですか?
可能です。疑義解釈では「少なくとも3つの領域にまたがって合計10種類以上」とされており、各領域の本数制限はありません。検査・処置の領域で内視鏡・造影CT・超音波をそれぞれ1本ずつご用意いただければ、3本として計上できます。
Q. 既存の説明書をそのまま動画にしてよいですか?
既存資料をベースにすること自体は問題ありません。ただし、内容が最新の診療ガイドラインや院内規定に沿っているかを確認してから動画化することをお勧めします。動画化を機に内容を見直す病院も多くあります。
Q. 更新が必要になったとき、どう対応しますか?
PIP-Makerで作成した動画は、元のPowerPointを修正して再アップロードするだけで更新できます。URLやQRコードは変わらないため、患者への案内を変更する必要はありません。
Q. 活用頻度の目安をどのように記録すればよいですか?
PIP-Makerでは動画の視聴ログを確認できます。使用回数を定期的に記録し、一般病床数の15%/日という目安に照らして運用状況を把握しておくと、年1回の業務評価に役立てられます。
Q. 動画制作のテンプレートはありますか?
PIP-Makerでは、患者説明動画に使いやすいPowerPointテンプレートを用意しています。一から資料を作る必要がなく、テンプレートに内容を入力するだけで動画制作を始められます。
Q. 院内に制作できる人員がいない場合はどうすればよいですか?
PIP-Makerでは代行制作プランもご用意しています。PowerPointの作成から動画化まで一括してお任せいただけるため、担当者の工数を最小限に抑えながら10種類以上の動画を揃えることができます。
まとめ
患者説明動画を10種類以上の整備するには、すでにある院内資料を起点にすれば、想像以上に短期間で対応できます。
要件のポイントを整理すると:
- 必要なのは3領域以上にまたがる合計10種類以上(全領域の網羅は不要)
- 整備だけでなく実際に活用されていること(一般病床数の15%/日が目安)が求められる
- 入退院・検査処置・医療安全感染対策の3領域から着手すると既存資料を活かしやすい
- PowerPointから内製化することで、外注と比べてコストを大幅に抑えられる
ICT乗数を1.3倍にする届出には直近3か月の算定実績を前提とするため、動画整備は早めに着手するほど有利です。PIP-Makerの無料トライアルで、まず1本作るところから始めてみてください。
令和8年度改定『医師事務作業補助体制加算』ICT乗数とは?
参考資料
※本記事は令和8年度診療報酬改定の告示・通知および疑義解釈に基づいて作成しています。正式な内容を必ずご確認のうえ、実際の算定・届出にお役立てください。
※PIP-Makerの「AIアバター」は、生成AIの機械学習には一切使用しません。詳しくは利用規約をご覧ください。
