インターネット上で学習を行えるeラーニングは、遠隔地からでも手軽に知識やスキルを身につけられる学習方式の一種です。従来のようにスクーリングを行う必要がなく、学習者のペースに合わせて学習を進められるのが魅力です。
本記事では、eラーニングを活用するメリット・デメリットと7つの具体的な活用例を紹介します。最後までお読みいただくことで、eラーニングがどのようなシチュエーションで活用できるのかを学ぶことができます。
目次
eラーニングとは
eラーニング(Electronic Learning)とは、インターネット環境を通じて学習教材を提供する教育形式です。従来の対面式教育とは異なり、学習者はコンピューターやインターネットを活用して学習コンテンツにアクセスし、知識やスキルを獲得します。
eラーニングは、動画、テキスト、クイズ、オンラインテストなど、多種多様なフォーマットで提供される学習教材を活用し、自分のペースで学習を進められるのがメリットです。時間や場所にとらわれないため学習の柔軟性や効率性が高く、遠隔地からでもアクセス可能なため、企業研修から学校教育まで幅広い分野で利用されています。
また、学習進捗の可視化やデータ分析を通じて学習者の強みや弱みも明らかにできるため、より効果的な教育プログラムの構築や改善につながります。
eラーニングの詳しい内容については、下記の記事もご参照ください。
集合研修のeラーニングには動画コンテンツがおすすめ!導入するメリット・デメリットを解説
eラーニングの重要性
前述のように、eラーニングは学習者が場所や時間に制約されずに学び続けることができる「マイクロラーニング」を実現できます。この特徴により、遠隔地に住む人々や忙しいスケジュールを持つ個人にとって、学習の機会が大幅に拡大されます。
また、eラーニングは学習者のペースに合わせた学習を可能にし、個別の学習スタイルに合わせた教育を提供できるため、効果的な学習習慣を養うのに役立ちます。
管理者にとっては対面式教育に比べて教材制作や配信コストが低いため、組織や学校は予算を節約しながら高品質な教育を提供できるなど、学習者と管理者の双方にとって多くのメリットがあることから、eラーニングの活用が重要視されています。
eラーニングのメリット
eラーニングのメリットとして、人的コストの削減や学習の進捗状況の把握、社員の学ぶ姿勢の向上などがあります。ここでは、3つのメリットについて詳しく解説します。
人的コストの削減につながる
eラーニングは、対面式の教育やトレーニングに比べて、教育関連の人件費を大幅に削減することができます。対面式の場合、講師やトレーナーの給与、交通費、宿泊費などが発生しますが、eラーニングではこれらの費用が不要です。
さらに、eラーニングプラットフォームは自動化された評価機能を提供し、評価とフィードバックのプロセスを効率化します。これにより、教育スタッフの時間と労力を節約できます。人的コストの削減は組織や企業にとって財政的なメリットをもたらし、教育プログラムの効率性を高めます。
業務可視化の重要性については、下記の記事もご参照ください。
業務可視化とは?重要性やメリット、具体的な5つのプロセスを解説
学習の進捗状況が把握できる
eラーニングプラットフォームは学習者の進捗情報をリアルタイムで提供します。管理者は学習者がどのコースを受講し、進捗状況を確認できます。これにより、特定の従業員やグループの学習状況を把握し、個別のサポートを提供することが可能です。
学習者の成績や評価結果もデータベースに記録され、容易にアクセスできます。管理者は学習者の強化ポイントや改善の余地を特定し、適切なフィードバックを提供できます。これにより、学習プログラムをカスタマイズし、効果を最大化することができます。
学習の進捗状況の可視化により、組織や企業は教育プログラムの効果を評価し、必要に応じて調整することが容易になります。学習者へのサポートもタイムリーに提供でき、学習品質の向上に寄与します。
社員の学ぶ姿勢が身につく
eラーニングには、社員の学習意欲や姿勢を向上させやすいというメリットもあります。
従来の対面式教育と比較して、eラーニングは学習者に自己責任の意識をもたらします。これによって学習者は自分のペースで学習を進め、自分から積極的に知識やスキルを習得しようとする姿勢が身につきます。
また、リアルタイムで進捗や評価を確認することにより、学習者は自分の成果を可視化できるため、達成感や自己満足感を高められます。
社員が自主的に学び、成長する姿勢が育まれることは、組織の競争力向上にもつながります。
マイクロラーニングについては、下記の記事もご参照ください。
マイクロラーニングとは?事例からわかる、効果を引き出す仕組み
eラーニングのデメリット
eラーニングにはさまざまなメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。実技が習得しづらい点や、インターネット環境を用意できないと学習が難しい点、教材開発の手間やコストがかかる点については、あらかじめ押さえておきましょう。
ここでは、3つのデメリットを詳しく解説します。
実技は習得しづらい
eラーニングのデメリットのひとつに、「実技は習得しづらい」というものが挙げられます。インターネット上での教材学習が中心となるため、実技や実地経験を必要とするスキルや職種においては、実用的なスキルを身につけるのが難しいです。
例えば、医療や製造業の分野では、患者への処置や工場における機械の操作スキルが必要になりますが、eラーニングだけではこれらのスキルを効果的に習得するのは難しい場合があります。
実際の操作や実地トレーニングが必要な職種では、eラーニングを補完する形で対面トレーニングが不可欠です。
インターネット環境がないと学習が難しい
eラーニングはオンライン上で学習が行われるため、インターネット環境がない場合、学習が難しくなります。特に、リモート地域やインフラが整備されていない地域に住む学習者や、インターネットに不慣れな高齢者にとっては、アクセスのハードルが高いことがあります。
また、一時的なインターネット接続の不具合や遅延も学習の妨げとなります。eラーニングの導入時には安定的なインターネット環境の確保を行わなければ、学習の一貫性が損なわれ、学習者が挫折する可能性が高まります。
学習教材を製作する手間やコストがかかりやすい
eラーニングコンテンツを製作するためには、適切な教材やコースの開発が必要です。しかし、教材を製作するには時間とコストがかかりやすいというデメリットがあります。
教材の制作には専門的なスキルやツールが必要であり、コンテンツ制作、著作権料、ソフトウェア利用料などがかかります。また、教材のアップデートや改善にも手間とコストがかかるため、初期コストだけでなく、継続的な運用コストも考慮する必要があります。
eラーニングの活用方法
eラーニングにはさまざまな活用方法があり、目的に応じた教材を開発することで、多様な効果を発揮します。ここでは、代表的な6つの活用方法について、具体的な例を挙げながら解説します。
内定者・新入社員の教育
eラーニングを活用して、内定者・新入社員の教育を行うことが可能です。インターネット環境を通じて研修教材を提供することで、新入社員は自分のペースで学習を進められるだけでなく、個別の進捗状況に合わせたトレーニングを受けられます。
遠方に住む内定者など、企業に通うことが難しい場合でも自宅にいながら学習を行えるため、コストの効率化にも貢献します。パソコンの基礎スキルや企業理念に関する知識など、必要不可欠な知識を的確に学べます。
中堅社員・管理職の教育
eラーニングを通じて、中堅社員や管理職向けに効果的なトレーニングを提供する活用法もあります。
中堅社員や管理職に対するリーダーシップ開発プログラムでは、リーダーシップスキルやチームマネジメント、戦略的思考などのトレーニング教材を提供できます。日々の業務で忙しい中堅社員や管理職でも自分のペースで学習できるため、業務の合間を縫って効率よく知識を身につけられます。
他にも、プロジェクト管理トレーニングなどのように、プロジェクト管理のスキル向上を図るためのコンテンツも有効です。プロジェクト計画から実行、監視、制御までの範囲をカバーして、組織全体の統制を強化できます。
全社教育
全社教育においては、企業理念の浸透やコンプライアンスの強化などに有効です。
eラーニングを通じて自社の使命やビジョン、価値観などをオンラインで伝え、従業員への理解を深められます。経営層から発信される一貫性のあるメッセージによって、組織全体で統一された文化を築きます。
一方、コンプライアンスの強化を目的にしたコンテンツ配信では、クイズなども効果的に利用して、法的規制やセキュリティポリシーに関する知識向上を促し、全社員のコンプライアンスを確保できます。
部門別教育
カスタマーサービス部門におけるオペレーショントレーニングや、技術部門における技術トレーニングなど、部門別の教育に活用する方法もあります。
カスタマーサービス部門では、eラーニングを利用して、顧客への適切なコミュニケーションや問題解決スキルを向上させるための教材を提供し、優れたカスタマーサービスを提供します。技術部門においては、市場における最新の技術トレーニングを提供して部門全体のスキルの底上げを図ることが可能です。
店舗教育
店舗教育におけるeラーニングの利点は、製品知識トレーニングとカスタマーサービストレーニングにより、効果的なスタッフトレーニングを実現できることにあります。
製品知識トレーニングでは、新製品情報の効果的な伝達と多彩なメディアを組み合わせたコースによる製品知識の充実が可能です。一方、カスタマーサービストレーニングでは、接客スキルの向上や問題解決能力の強化が期待できます。
実践的なトレーニングを通じて、スタッフの顧客対応力が向上し、店舗のサービス品質の底上げにつながります。
多言語対応
日本語、英語、中国語など、複数の異なる言語環境で活動する組織にとっては、eラーニングの多言語対応も重要です。多言語対応を行うことで、学習者は自身の母国語で学習でき、理解度が向上します。
既に特定の言語において教材が存在する場合は、その教材を他の言語に翻訳し、字幕を追加することで、既存の教材を再利用しながら異なる言語圏の学習者にもアクセス可能になります。
語学教育
eラーニングを通じて動画配信を行い、語学コースの提供や個人レッスンを実施して語学教育を提供する方法もあります。音声、動画、テキストなど多彩なメディアを組み合わせることで効果的な語学学習を支援し、発音練習や対話練習など実践的な演習を組み込むことが可能です。
また、カスタマイズ可能なレッスンでは、学習者の語学レベルに合わせて個別の学習計画を提供し、繰り返し学習やクイズを通じて言語スキルの向上を促進します。これにより、効果的かつ効率的な語学教育が可能となります。
eラーニングを取り入れる際のポイント
eラーニングを取り入れる際は、知識の定着を促すための反復学習や、理解度を高めるためにクイズ・質問を作成することがポイントです。ここでは、3つのポイントについて詳しく解説します。
反復学習を促す
eラーニング上で提供する教材は、学習者が新しい情報を定着させるために反復学習を促す構成を心がけることが大切です。
ひとつのテーマに関する情報を複数の教材で繰り返し提供し、学習者に何度も復習する機会を提供したり、教材を簡単に振り返ることが可能な見出しを作ったりすることが求められます。また、定期的な復習セクションを設けることで、知識の定着を強化できます。
クイズや質問を作成し理解度を上げる
学習者の理解度を確認し、より強く定着させるためには、クイズや質問を積極的に活用するのも効果的です。
コース内にクイズセクションを配置し、学習者が積極的に参加できるフェーズを設けることで、知識の確認を促します。
また、わからないトピックについて自由に質問できる掲示板や、講師にメッセージを送信できるオンライン質問フォームなどを提供して、学習者が疑問や質問を投稿できる環境を整えることも大切です。
eラーニングに依存しない
eラーニングだけでは社員教育が完結することはありません。
学習効果を定着させるには、集合研修とeラーニングを組み合わせることが大切です。
eラーニングを活用し、社員が自主的に学ぶ風土を醸成しよう
eラーニングを活用することで、社員が自主的に知識やスキルを高める風土を醸成でき、業務効率化の推進や業務品質の向上につながります。
学習者、管理者、会社全体にとってのeラーニングを活用するメリットをまとめると、次のようになります。
学習者
・自分のペースで学習できる:学習者は自分のスケジュールに合わせて学習できるため、仕事や生活とのバランスを取りやすい
・豊富な学習コンテンツ: eラーニングは多彩な学習コンテンツを提供しており、動画、クイズ、シミュレーションなどを通じてモチベーションの高い学習が可能
管理者
・進捗追跡と評価:管理者はリアルタイムで学習者の進捗を追跡し、個別の弱点を特定してサポートできる。また、評価や成績のデータを分析し、教育プログラムの改善に役立てられる
・コスト削減: 対面式教育に比べてeラーニングは費用対効果が高く、教材の制作・保守費用や会場や講師の経費を削減できる
会社全体
・平等な教育プログラムの提供:全社員が効率的に教育を受けることができ、一貫性のある教育プログラムを提供できる。これにより、全体のスキル向上が期待できる
・スキル共有の推進と競争力の向上:eラーニングはスキル共有を促進し、組織内の知識やスキルを継続的に向上させる文化を醸成する。社員の成長が会社全体の競争力向上につながる
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